本とおやつが好き。

本とおやつ、その他いろいろについて。

柳美里『南相馬メドレー』

2022年、福島県の相双エリアを訪ねました。

そこで、訪れた場所のひとつが、作家 柳美里さんがやっていらっしゃるブックカフェ『フルハウス』です。

作家さんがやっているお店なんて面白そう! という、単純な好奇心からでした。

 

JR常磐線 小高駅から歩いてすぐのところにお店がありました。

小ぢんまりしたおしゃれな空間で、私が伺った際には柳さんご本人もお店にいらっしゃいました。(ご本人だ!と、思ったものの、恥ずかしくて目も合わせられず……)

 

店内はそれほど広くないものの、落ち着いた雰囲気で、会社帰りにふらっと立ち寄って小一時間過ごしたくなるような……会社と自宅の間にあったら、たぶん週2くらいのペースで通うだろうな。

カフェメニューもとても魅力的だったのですが、この日は昼食をとってから伺ったので、本屋さんのほうをのぞかせていただきました。

 

並んでいる本は、柳さんのご著書や南相馬に所縁のある本、小説や絵本、写真集といろいろあるけど、割と(?)個性的な本がたくさん。

いわゆる「ベストセラー本」がたくさん平積みになっているという感じではなかったような。

印象的だったのは、楳図かずおさんの『漂流教室』完全版。初めて見た……

買おうか迷ったけど、お財布と相談して断念。

 

そこで、購入した本の1冊が『南相馬メドレー』

東日本大震災後に南相馬に転居された柳さんの5年に渡って綴られたエッセイ集です。

 

柳さんが歩まれてきた人生、お子さんとの日常、フルハウス開業までの道のり、南相馬で出会った人たちとの関わり……いろいろなエピソードが詰まっています。

読んでいると、かなり苦労をされたんだろうな、苦しかっただろうな、というエピソードもあるけれど、ひとつひとつのエッセイが、優しい言葉でつながっていく、タイトルの通り「メドレー」になっている、そんな1冊です。

特に印象的だったのは、地元の高校生たちとの繋がり。

高校生たちにとっても良い時間、経験になったと思うし、しっかりと向き合う柳さんもすごいなと思いました。

それにしても、高校生の時に、親でも、学校の先生でもない「大人」と関われるっていいな。

 

読み終わったときに、また『フルハウス』に、南相馬に行ってみたいな、と思いました。

 

次回、伺った際にはカフェのパスタを食べたいです。

 

柳美里南相馬メドレー』

 

フルハウス

〒979-2121

福島県南相馬市小高区東町1-10

https://odaka-fullhouse.jp